欠陥住宅を買わないために

見積もりについて

家づくりのトラブルを防止するためには、
施主は色々なことをしなくてはなりません。

 

その一つに、「建築費用の検討」があります。

 

ものの値段が分からずに買物をする人は殆どいません。

 

家を建てる場合も、最初に施工業者から見積もりを出してもらい、
そこから折衝をスタートします。

 

ですが、家の見積もりといっても、難しいので、
業者が提示してきたものをそのまま受け入れてしまいがちです。

 

変に値切って、手抜き工事をされても困るし・・・
などと思ってしまうと、
さらに、業者が言う額をそのまま受け入れてしまうという人も多いようです。

 

住宅の建築では、自動車のように工場でラインに乗って作られるわけではありません。

 

たくさんの材料や数十種類の工事が入り混じり、
さまざまな工程が積み重なって、つくられていきます。

 

一部の分譲住宅を覗けば、
同じ建物は二つとありません。

 

見積もりも、自動車のように、「一ついくら」「一棟いくら」というわけには
いかないのが現状です。

 

家の見積もりはかなり複雑です。

 

しかし、複雑だからと言って、そのまま受け入れる事は避けたいもの。

 

チェックポイントをまとめてみますので、
参考にしてみてください。

標準的な積算方法

「積算」とは、算えたものを積み上げる事です。

 

図面や仕様書などの設計図書に基づき、建築物の数量を求めます。

 

また、求めた数量に各種工事の単価を乗じて、
建築物の価格を算出し「見積もり」を出します。

 

では、標準的な工事費の算出方法をみてみましょう。

 

建物の価格(工事費)は、通常、「工事価格」と、
「消費税等相当額」でもとめられます。

 

・工事価格は、「工事原価」と「一般管理費等負担額」で求めます。

 

・工事原価は、「純工事費」と「現場管理費」で求めます。

 

・純工事費は、「直接工事費」と「総合(共通)仮設費」で求めます。

 

・現場管理費と一般管理費等負担額を足したものが「諸経費」で、
この諸経費と、総合(共通)仮設費を足したものが「共通費」です。

 

それでは、それぞれについてもう少し詳しく見てみます。

 

(1) 総合仮設費

 

総合仮設費とは、工事着手前の現場の調査費、仮囲い、
工事用電気、工事用水道の使用料、
安全対策費、近隣対策費など、直接工事に関わらないけれど
建築物を完成させるのに必要な仮の費用の事をいいます。

 

(2) 直接工事費

 

直接工事費とは、基礎工事や木工事、左官工事など、
建築物を完成させるために直接必要になる費用のことをいいます。

 

また、直接工事費には、仮設足場工事のような建築工事に直接関わる
仮設工事も含まれます(直接仮設費)。

 

(3) 純工事費

 

純工事費とは、総合仮設費と直接工事費を合わせたものに、
建築会社が工事の一部を専門業者に下請けさせる場合の
下請け経費を含めたものをいいます。

 

(4) 現場管理費

 

現場管理費とは、労務管理費、各種申請料、保険料、交通費、通信費、
現場管理上の諸費用のことをいいます。

 

(5) 工事原価

 

工事原価とは、純工事費と現場管理費を合わせたものです。

 

(6) 一般管理費等負担額

 

一般管理費等負担額とは、
宣伝広告費、研究開発費など、会社経営管理上の諸費用のことをいいます。

 

(7) 諸経費

 

諸経費とは、現場管理費と一般管理費等負担額をあわせたものです。

 

会社従業員の給与や賞与、接待費用、利益なども諸経費に含まれます。

 

 

このように、多くの要素が積み上げられ、「工事費」となります。

 

諸経費に属する費用は、その建築会社の規模や経費の取り方によって変わりますが、
一般的には、「純工事費・工事原価に対して○○%」というように、
建築会社の規定によって定められているようです。

 

近年は、設計のCAD化、IT化が進み、
積算自体も人の手に替わってCADが数量の算出をしています。

 

ですが、計算式は単純で、
加減乗除の簡単な算式で誰でも数量を算出できます。

 

ですから、ぜひ、自分でも算出してみてください。

 

建築会社では、材料のロスの見方や算出方法に多少違いがあるので、
100%一致する事はほとんどありませんが、
あまりにも違う場合は、建築会社に算出法を尋ねてみましょう。

 

建築会社にやましいことがなければ、
質問について丁寧に説明をしてくれるはずです。

坪単価は要注意

坪単価という形で表現される工事見積もりは、
「一式見積もり」と同じで、
日本建築業界における「どんぶり勘定文化」の流れを汲んでいます。

 

どんぶり勘定文化は、悪しき流れです。
注意しましょう。

 

「坪単価」は、建築会社が過去に建築した実績データをもとに、
経験から割り出した工事価格です。

 

つまり、正確な設計条件や工事の難易度を勘定して決めたものではありません。

 

ですから、創業間もない建築会社や施工会社では
実績データも少なく、単価の信憑性については劣ります。

 

悪質な建築会社では、
実績データの裏づけもないまま、感覚だけで坪単価を設定しています。

 

たとえば、「激安!坪単価20万円!」というような広告やチラシをよく目にします。

 

ですが、坪単価20万円では、人が住める家は作ることは出来ないはずです。

 

もし、坪単価20万円で家を建てるとすると、
玄関を入って一階と二階に大きな部屋ががあり、
間仕切り壁も一つもなく、収納スペースも勿論泣く、
給排水の配管も建物内で終わっていて外部につながっていないなどという状態でしょう。

 

人が住むことができるようにするには、
オプション工事の嵐になり、気がつけば、坪単位40万、50万というように
膨れ上がってしまうのが見えています。

 

このようなことにならないように、坪単価の中に含まれる設備や
工事の内容については、注意深く確認する必要があります。

見積もりチェックのポイント

見積もりチェックのときは、
見積書に記載されている建築物の床面積と平面図・仕様書等の
設計図書に記載されている建築物の床面積を見比べましょう。

 

見積書と設計図書の建築物の床面積と見積書の面積が
食い違う事があります。

 

この場合の設計図書の面積は、
建築基準法に基づいて算定した申請上の床面積です。

 

見積書の床面積は「施工面積」と呼ばれていて、
実際に施工する範囲の面積をいいます。

 

玄関ポーチや小屋裏収納庫、バルコニーは面積には含まないのですが、
見積もり上の面積を増やし、
坪単価を計算して工事費を上げたり、
玄関ポーチ部分や小屋裏、バルコニーを標準工事ではなく、
オプション設定にして、オプション工事費として計上する
「二重計上」をする業者もあります。

 

住宅メーカーやビルダー、工務店など、
それぞれで色々な考え方がありますが、
「坪単価○○万円」という場合の工事や材料の中身については、
しっかりチェックしておくことが必要です。

建築費に大きく影響するオプション工事

オプション工事とは、本体工事以外に施主の希望によって
追加オーダーをする工事のことです。

 

このオプション工事というのは曲者で、
見せ掛けの工事費を安くするために本体工事を簡略化し、
会社が必要とする最低限の経費、利益だけを見込んで
オプション工事を追加せざるを得ない形にし、
利益を上げようとしてる業者の罠の一つともいえます。

 

勿論すべての業者が、「オプション工事」という罠を仕掛けてくるわけではありませんが、
設計図に記載されていない項目が見積もりに記載されていないかどうかや、
こちらで選んだオプション工事が設計図や見積もりに正確に記載されているか、
つまり、設計図書と見積もりが正確にリンクしているか、
見積もりに漏れがないかをチェックする事が必要です。

 

このチェックを怠ると、着工後、建築会社との間で、
「言った」、「言わない」、「聞いてない」の押し問答に発展します。

一式という表現には要注意

「一式」という見積もり表現についても、
注意しなければなりません。

 

工事原価の部分について「一式」という単位はありえません。

 

もし、「一式」という単位がでてきたら、
納得できるまで十分に話し合い、
お互いに理解をしてから契約し、工事着工に望みましょう。

 

提出された見積書を鵜呑みにすることなく、
自分の目で設計図と見積書をよくつき合わせ、
疑問に思う部分は遠慮せずに質問し、
納得ができるまでは契約を結んではいけません。

 

見積もりについて心配なときは、
信頼できる専門家、第三者機関へのチェック依頼を検討しましょう。

サービスについて

広告や営業マンのトークなどで「ただいまキャンペーン中なので、
期間内にご成約の方には○○をプレゼントします。」とか、
「今なら○○を標準装備します。」というものを見かけたり、
耳にしたりします。

 

また、「設計無料」や「見積もり無料」、「査定無料」という文言も
見かけたり耳にしたりします。

 

こういったものに、つい心を動かされてしまい、
早く決めなくては!とか、
早く契約しなくては!などと思ったりしてしまいがちですが、
このような魅力的だと思われる特典も決してタダではありませんから
注意しなくてはなりません。

 

これらの経費は、決して建設会社が身銭を切っているわけではなく、
実は全て工事費に含まれています。

 

サービス費も全て諸経費として計上されているのです。

 

営業経費だけでなく、下請け管理費や近隣対策費、
現場清掃費、会社の事務費等も含まれますから、
企業規模が大きくなればなるほど諸経費負担は大きく、
結果、施工費が高くなります。

 

見積書を評価するときは、
諸経費の内容については特に注意を払い、
「無料サービス」と言う言葉にだまされないようにしなくてはいけません。

相見積もり

見積もりをする場合は、複数の会社で行うのが鉄則です。

 

ですが、二つ以上の見積書を比べるときには、
そのチェック方法に注意しなければなりません。

 

・同じ条件を提示

 

相見積もりをする場合は、
見積もりを依頼するそれぞれの会社に対して、
同じ条件を提示しなければなりません。

 

異なる設計や仕様では、面積などの数量を置き換えたり、
プランや条件の違いによって各部位の使用材料が異なってきます。

 

そうすれば、せっかく複数社で見積もりをとっても、
目的である「比較」が出来なくなります。

 

さらに、同一条件で見積もりを依頼する場合も、
施工業者によって工事項目と工事内容の書き方が違ったりしますから、
見かけの費用が安いからとって、必ずしも安いとは限らないのです。

 

見積もりの評価は金額だけで判断できません。

 

金額の内容の妥当性を正当に評価する必要があるので、
専門家に相談するのが一番です。

 

・見積もりを取るタイミング

 

見積もりを取るタイミングにも注意が必要です。

 

見積もりは、構造や工法、屋根、外壁の仕上げ、内部設備の仕様を決めてからでなければ、
正確な見積もりを得ることは出来ません。

 

見積もりに提出するプランの作成は、
当事者である建築会社に依頼するのではなく、
専門家である第三者に依頼するのが一般的です。

 

家づくりのプランやイメージが決まる前に見積もりを依頼しても、
業者の思惑が入りすぎてしまい、
正確な見積もりができず、比較もできません。

 

そうなると、結局、総額だけで判断する事になってしまいます。

 

・見積もりの表記の仕方も統一する

 

見積もりを取ったとき「坪単価」で見積もりを提示している会社があった場合は、
その内容について詳しく聞き、把握することが必要です。

 

表記の仕方も統一し、分かりやすく、
比較しやすい見積もりを取るようにしましょう。

 

見積もりを取る事のメリット

 

複数の会社で見積もりを取る事は、
とても大きなメリットがあります。

 

たとえば、3社から見積もりを取って比較する場合、
二つの会社の見積もりに入っていても、
一つの会社の見積もりに入っていないものがあったとすると、
一つの会社では「漏れ」があるのかもしれませんし、
二つの会社では「過剰見積もり」がされているのかもしれません。

 

一社のみの見積もりでは見つけることが出来ない「ミス」を発見することができるのも、
複数社で見積もりを取る事のメリットです。

 

家づくりに必要な費用は工事費だけではない

 

見積もりのチェックが終わったらいよいよ契約です。

 

ですが、家づくりに必要な費用は、「工事費」だけではありません。

 

たとえば、建て替えの場合は、
今ある建物を解体するときに必要な「建物滅失登記」や、
建物が完成したときの「建物表示登記・保存登記」などの登記費用、
火災保険や家財保険などの各種保険費用、
住宅金融公庫や銀行等の住宅融資利用時に発生する費用、
引越しにかかる費用など、「諸経費」だけでも100万円以上かかります。

 

さらに、建築工事費以外にもエアコンなどの空調設備、
カーテン、照明器具の費用等は入居者が自分で用意することになります。

 

また、建物の解体費用や、地盤改良が必要であればその費用、
外構工事費、時にはガス工事費等も必要になってきます。

 

工事の変更について

 

どんなに綿密に考えたつもりであっても、
工事が進むにつれて変更したくなります。

 

施主側の希望で行なう工事変更は、
必ず追加費用が発生しますから、
工事の変更の際に発生する費用についても
考えておく必要があります。

 

予算は余裕を持って立てる

 

家を建てるときには、工事費だけでなくさまざまな費用が発生します。

 

ですから、予算の大半を建築工事費につぎ込んでしまう事はできません。

 

途中で発生する費用により、心ならずも
設計変更を余儀なくされる事もあります。

 

また、費用の中には、住宅融資の対象外となる項目もあるので、
そのようなものには自己資金を当てる必要があります。

 

工事費を決める場合、目いっぱいの予算を使うのではなく、
余裕を持った予算配分をする必要があります。

 

工事費の決定については決して無理をせず、
建築会社にもきちんと予算を提示し、
建物の仕様やグレード、費用を決定することで、
トラブルを防止することが出来ます。